Slide I - 034
まず、中途障害者の心理について、考えてみましょう。
人生の途中で、大きな病気やけがをして、障害者となってしまった。私たちの身にもいつ起こるかわかりません。あなた自身のこととして少し想像してみてください。多くの方は、これからの自分の人生設計が根底から崩れていく想いを持つのではないでしょうか。
中途障害者の心理を理解する上で、よく用いられる考え方に「障害受容」のプロセスがあります。
最初は「ショック」で何も考えられない時期から、これは嘘だ現実ではないといった「否認」の時期、現実を徐々に受け入れながらも「混乱」する時期を経て、「適応への努力」の時期、それから「適応」へと進んでいきます。しかし、実際にはこれらは一方通行の単純なプロセスではなく、各段階をいったりきたりしながら徐々に適応へと進んでいくと考えられています。しかし、障害の受容は簡単なも
のではありません。
そこで、介護等の制度の利用を勧め、社会的な環境を整えていくことにより、障害をもっても自分らしく生きていける確信を持ってもらうように、働きかけをしていきます。
また、社会の障害者に対する態度も、障害の受容のプロセスに影響を与えます。障害者に対する否定的な態度をなくすような日々の働きかけも重要です。
そうして、障害のある身体や暮らしへの適応へのきっかけがうまく見つけることができれば、案外早く切り替えができ、前を向いて生きていくことができるケースも多いようです。仲間の支えや、将来の具体的なビジョンを持っていただくことが重要です。
しかし、これまでの人生の積み重ねもあり、「適応」の道のりは簡単ではない場合もあるようです。一見、障害受容しているようにみえても、実際には複雑な気持ちを抱えているものです。本人の誇りを傷つけるような言動は慎み、敬意の念を持って接することが重要です。
障害の受容を押しつけることがないように注意するとともに、障害者本人にしかわからない辛さや苦しみがあることを、常に洞察する気持ちで接しましょう。