Slide II - 036

吸引は、たまった分泌物を取り除き空気の通り道をよくして呼吸を楽にしますが、吸引カテーテルを挿入して圧をかけて吸引するのですから、吸引される方には苦痛が伴います。
たとえば、口や鼻にチューブが入ってくるのですから、不快だったり、痛みがあることは容易に想像できます。
口腔内や気管内の粘膜は柔らかく、鼻の奥にはたくさんの細かい血管があります。したがって、かたいカテーテルが入ることで傷つくことがありますので、挿入する場所やカテーテルの深さは決められたとおりにする必要があります。
また、気管内吸引の際には呼吸器をはずしていますので、その間酸素や空気が入ってきません。そのために、吸引時間が長引くと低酸素の状態になります。ですから、私たちは吸引される方の表情や顔色、パルスオキシメーターがあれば酸素飽和度の低下がないか十分に注意しながら行う必要があります。
以上のように、吸引は多少なりとも利用者さんの苦痛を伴う行為であることを銘記し、排喀痰法などを用い、1 回に十分な量の吸引ができるようにして、吸引回数を減らす努力が必要です。
また吸引は、口や鼻、気管の中に直接カテーテルという異物を入れる行為です。汚染した手や器具などを使用して吸引すれば、ばい菌を口や鼻、気管に入れる機会にもなってしまいます。ですから、清潔な手や器具、環境の中で行うことが何よりも重要です。

吸引により起こりうること