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最後に、吸引を必要とする利用者は、呼吸する力が弱っている状態です。
自分で喀痰や唾液を出したりできないために、他人から吸引してもらって呼吸を整えなくてはならないことは苦痛でしょう。
吸引は時間で決まっているケアではなく、その時の状態により必要になるものです。 吸引が必要な時に、迅速に対応されるべきですが、介護者が利用者の意思に気がつかなかったり準備に時間がかかったりして、つらい思いをされていることもあります。不快なだけではなく、喀痰がたまることで呼吸が苦しくなり、命の危険さえよぎり、不安を感じることもあります。
また、呼吸の苦しさは主観的なものも大きく、吸引の手技によっては思うようなすっきり感が得られずもどかしい思いをされていることもあるでしょう。
このような利用者の思いを理解し、ケアに入っていくようにしましょう。
家族も利用者と同じように、不安を感じています。
利用者の意思に気づかないようなケアや乱暴に見えるようなケア、手順の違いは、任せてもよいのか大きな不安にかられます。誠実に行っていくようにしましょう。
また、吸引の物品、カテーテルの保存の仕方、やり方は、その利用者によって個別性があります。個別性に沿った手順で行えるよう、事前に家族や医療者とよく確認しておきましょう。
喀痰の吸引は、本研修で学んだことを実践すれば、けっしてむずかしいことではありません。
みなさんの安全で優しいケアが、利用者の安心や安楽につながりますますので、よろしくお願いいたします。

吸引される方の気持ち、家族の思い